シリコン結晶研究のルネサンス
炭素
シリコン結晶中の炭素濃度の赤外吸収による測定法
目次
1. まえがき
2. 炭素による赤外吸収と測定原理と装置
3. 試料
4. 赤外吸収スペクトルの測定
5. スペクトルの数学的処理、fractional phohon bands
5.1. 重み付き差吸収スペクトル
5.2. 濃度別のベースラインの引き方
(1)高濃度 1:1の差、フォノンバンド端間のlong baseline
(2)中低濃度、outer phonon bandとmiddle bandの間のmiddle baseline, 590-618cm-1
(i) 5x1015/p3以下, outer phonon bandが顕著
(ii)5x1015/p3以下、middle phonon bandの発生 no overlap at carbon peak, middle bandの外側 middle baseline, 590-618 cm-1(同上)
(iii)1x1015/p3以下、middle phonon band顕著、炭素ピーク位置でほぼ無視できる、 middle bandの外側 middle baseline, 590-618 cm-1(同上)
(3)低濃度、5x1014/p3以下、inner phonon bandが顕著、炭素バンドに重なりゼロ点がなくベースラインが引けない、バックグラウンドの包絡線
6.濃度の算出
A. 装置の検査
(1)フォノンバンドの高さがほぼ
(2)繰り返し測定スペクトルの再現性
B. 検出下限について
B.1. Instrumental detection limit
B. 2. Spectral detection limit
欧米では炭素濃度の測定は低温が主流である。
炭素吸収も微分フォノンバンドも鋭く狭くなって重ならないため、1x1013/p3まで測れる
従来低炭素濃度のポリシリコン測定は装置の限界に近いため、結晶化して行われていた。
しかし、結晶化のプロセスで汚染が起きるという問題があった。
ポリシリコンのフォノン吸収は単結晶と違って扱いにくいせいもあった。
我々はポリシリコンも低濃度測定の障害が単結晶と同じ微分フォノン吸収であることを明らかにし、1014/p3でも容易に測れることを示した。
現行規格(標準手順)への低濃度対応追加案
炭素濃度測定の現行規格は、1990年に電子協規格の制定活動を踏まえて改訂されたASTM規格で、その後ASTM規格全体の廃止に伴い、民間商業団体であるSEMIに移行しました。
その後改訂がSEMIジャパンに度々提案されていますが採り上げられません。
一方、電子協規格も、廃止に伴い同じ経産省の関連組織である新金属協会に移管されました。
その後2016年に赤外吸収法の規格改訂が始まりました。上記の研究成果の多くが巡回測定により検証されました。
その後中止されたままですが、電子協・SEMI規格にその後の進展を追加すると、マニュアルになると思います。
ポリシリコンの測定は電子協・SEMI規格になく、画期的です。
追加項目要約
測定条件
室温で波数分解能2p-1、1000スキャン、3回測定平均
装置検査法
フォノンバンドのピーク吸光度 厚さ2oで0.65±0.2
繰り返し測定の差吸光度600p-1付近で0.001以内
重み付き差吸収スペクトル処理
ベースライン
低濃度化による微分フォノン吸収バンド出現に合わせて、ロング、ミドル、ショート
微分フォノン吸収バンド処理
インナーフォノンバンドに対する微分フォノン吸収スペクトルのフィッティングと消去
低温測定
試料厚さ3-5mm
波数分解能1cm-1、表裏の反射による干渉縞防止
インナーフォノンバンドは炭素バンドと重ならないため、対策不要
ポリシリコン
手順は単結晶と同じ
instrumental detection limit
差吸収法に対する定義、求め方
1. まえがき
半導体デバイスの大半に使われているシリコンウエハには、仕様として大きさの他に、ドーパントによる抵抗率や少数キャリアライフタイムなどの電気的特性や、
特性に影響を与える酸素・炭素・窒素の不純物濃度などがあります。
炭素は電子デバイスでは殆ど影響がありませんが、パワーデバイスではライフタイム制御に使われたり、影響の可能性が指摘されていたりして、重要な指標となっています。
炭素濃度の測定はここで述べる赤外吸収法で行われています。
シリコン結晶は、シリコン多結晶をカーボンヒーターで加熱融解し、種結晶を基に固化して成長される。このため高温のヒーターから成長雰囲気中に飛散した炭素が不純物として溶け込む。
特にパワーデバイスでは、炭素不純物は、特性に善悪の影響を及ぼす。このため炭素濃度はシリコンウエハの重要な仕様となり、測定が必須である。
測定は赤外吸収法により行われる。以下では具体的な測定法について述べる。一般的な基礎知識は文末の解説に述べる。
炭素濃度の赤外吸収法では測定そのものよりも、妨害吸収成分を除くためのその後のスペクトル処理が重要である。
2. 炭素による赤外吸収と測定原理、装置
結晶中の原子は互いに他の原子と結合して結晶格子を形成している。
原子は熱により格子振動しており、振動数と同じ周波数の赤外線を吸収する。(図1 透過率スペクトル、phonon/ref)
炭素の場合その波長は約16μm(604.5p-1)である。(図1 carbon、TestとRefの差)
格子振動の他に不純物は周りの原子と共に局所的に振動しており、その振動数の赤外線を吸収する。赤外吸収スペクトル。
吸収能は不純物濃度に比例するため、吸収係数を求めると濃度に換算できる。発光や吸収や散乱によるスペクトルは一般にピークの周りにガウス関数状に広がっている。ピーク高さからバックグラウンドノイズを引くとピーク吸光度が求められ、単位厚さ当たりの吸収係数を算出し、別に定められた換算係数により濃度に換算することができる。
従って測定は(1)赤外分光装置を用いた吸収スペクトルの測定と、(2)スペクトルを数学的に処理した吸収係数の算出の段階を踏む。シリコン結晶には格子振動や求めようとする不純物吸収の他に他の不純物や電荷によるフリーキャリアー吸収などがあり、またスペクトルは一般にバックグラウンドノイズがあり、それらを除く必要がある。それにも測定とスペクトル処理で対応する。まず最大の吸収である格子振動は、一般に不純物吸収の1000倍程度あるので、不純物を含まない参照試料との差吸収により相殺する。(図1 下)
スペクトル処理においては測定試料と参照試料の厚さの差による吸収を最も良く消すため重み付き差吸収を行う。その他の吸収については一般にベースライン処理を行う。求める不純物吸収以外は波数依存性がないとしてバックグラウンドを直線で近似することである。以下ではその具体的な方法を述べている。
最初に室温測定について全体を述べる。次に低温測定とポリシリコン測定についてそれぞれの特徴的課題について述べる。
図 補償法赤外吸収も模式図、測定試料と参照試料の吸収スペクトルを測定し差を求める
図1 上:測定試料(test)と参照試料(ref、無炭素)の透過光強度スペクトル、差が炭素による吸収
下:差吸光度スペクトル、炭素の吸収バンド、濃度1017/p3、裾は570,630p-1でゼロとなる装置
汎用の赤外分光装置が市販され、化学的な定性分析に広く使われている。波長域は2.5-25μm(波数域400-4000p-1)が普通である。
低濃度になるほど、安定性が良い装置が望ましい。
ドイツのブルカー社のフーリエ変換型の113v型は、2000年前後から世界の研究者に最もよく用いられている高性能装置で、炭素濃度測定にも広く用いられている。
測定条件は標準設定のままでよく、波数分解能は2cm-1とする。
繰り返しscan数は、化学の定性分析は64回程度が普通であるが、炭素濃度の定量測定には1000回程度とすると平均によりS/Nが改善される。
欧米では低温測定が普通であり、液体窒素温度でも液体ヘリウム温度と特性に差がない。
従って液体ヘリウム温度にできるクライオスタットを用いる。
2+. 課題
炭素の吸収バンドは、用いられる赤外分光装置の、光源強度と検出器感度が低い600p-1にあり、巨大なフォノン吸収バンドに乗っており、極小信号を測らねばならないという条件のために
以下の課題があります。また、測定試料と炭素を含まない参照試料の赤外吸収スペクトルの差を求めて単死骸の吸収を消去する「補償法」特有の問題があります。我々はそれらを数十年かけて解決し、最近低濃度で生じる新たな問題を見つけて解決を進めています。
1Machine problem 低透過率小信号のため高性能が必要
使える高性能装置であるかを調べる方法を確立
2Baseline problem 参照試料との差でフォノンが相殺不可
炭素バンドの周りにあるバックグラウンド吸収を消去して直線にする方法を確立
3Reference problem 全てが炭素を不明量含む
参照試料の濃度を他の方法で求める、電子線照射により「置換型炭素」を消去する人工参照試料を用いる
4Calibration problem 絶対測定法との換算係数が不確か
度々比較を行って、換算係数を変えなくてよいことを確認
5Multi-reflection problem 炭素吸収が高透過率から低率にまたがる
低濃度になると炭素バンドが狭くなって低透過率領域中心になり、問題が少なくなることを確認
6 Differential absorption spectrum problem フォノンバンドスペクトルを微分すると現れる「微分フォノンバンド」が炭素バンドと重なる
対策を発見、低温測定は問題がなく、ポリシリコンは単結晶より容易
図 中赤外波数域(400-4000cm−1、2.5-25μm)の無試料(空気)の透過光強度スペクトル、主な吸収は水蒸気
図2 フォノンによる吸光度スペクトル575-636pで接線が引ける(ベースラインの基本)
ピークは611p。炭素の吸収バンドのピークは604.5pでフォノン吸収の低波数側の肩にある
フォノンバンドのピーク吸光度(青矢印の長さ)は厚さ2oで約0.65
3. 試料
通常は厚さ2oで両面鏡面研磨の試料が測定試料と参照試料として用いられる。
スペクトルの測定
測定試料を試料室に入れ、雰囲気の水蒸気などが減ってから強度スペクトルを求め、数学的に吸収スペクトルに変換する。次に参照試料の吸収スペクトルを求める
4. 赤外吸収スペクトルの測定
赤外吸収は化学の世界を中心として広く使われている汎用的な方法である。従って汎用装置が市販されている。但し一般の化学分析が定性分析であるのに対して、ここで用いられるのは高感度な定量分析のため、汎用市販装置に比べて精度や安定性の高い装置を必要とする。このため、測定に当たっても、まず装置の精度や安定性の確認が必要になる。これについても詳細は文末に述べることとし、ここではスペクトルの測定について述べる。
汎用の中赤外分光装置では400-4000p-1が主に用いられ、炭素などの不純物吸収もその範囲にある。一般には500-700p-1が測定に用いられる。
高性能な装置では、スキャン回数を多くして繰り返し測定し加算して平均するほどS/N日が良くなる。フォノンピーク吸光度が厚さ2oで0.7であるのに対して、炭素による吸収は1015/p3でも0.001と1/700であるから大きな吸収の中での微細な差を求めなければならない。通常の定性分析が64scan程度であるのに対して炭素濃度測定では1000scan以上が用いられる。(図2)
装置のチェック
測定条件
新金属協会の標準化(突然中止まで)における予備巡回測定で推奨・実施
波数分解能 2p-1
スキャン回数 1000
測定繰り返しと平均 3回
低温測定
低温測定については別に述べる
5. 妨害成分を除くためのスペクトルの数学的処理、fractional phohon bands
スペクトルの数学的処理による炭素ピーク吸光度の算出
測定試料と参照試料の吸収スペクトルから差吸収スペクトルを算出して、炭素以外の吸収をできるだけ完全に消去して、炭素吸収スペクトルを算出し、
ピーク吸収とバックグラウンド吸収を決定してその差のピーク吸光度を求め、吸収係数から炭素濃度に換算する。
1017/p3以上などの初期の高濃度の時代には、単純に差スペクトルを求めると炭素以外の吸収やバックグラウンドノイズは無視できるほど小さかったため、ガウシアン形状のスペクトルに接線を引くとベースラインとなり、バックグラウンド吸光度が得られて、ピーク吸光度が得られた。
ここで主に扱うのはそれより低濃度の、フォノンなどの吸収が完全には消えない場合である。その理由は2016年に発見されたfractional phonon bandである。Outer, middle, innerの3種に分けられ、一方炭素バンドは低濃度になるほど狭くなって、これらのバンドの重なり方が数段階に分かれる。従って処理の仕方も数段階に分かれる。そして最後の段階は重なりのためにベースラインが引けなくなり新たな方法が必要となる。
図3 15乗台下半の差吸光度スペクトルの例、outer phonon bandsと middle phohon band
図4 黒:フォノンバンド(縮小)、赤:差分、極大値(変曲点)にfractional phonon bandsが現れる
5.1. 重み付き差吸収スペクトル
試料厚さを所定の2mmから20μm以内に仕上げるのは容易でないから、差吸収スペクトルにはフォノン吸収が0.001近く残る。これは炭素濃度1015/p3に相当する。厚さの比の逆数の重みをかけて引くとほぼ消去することができる。試料の性質や厚さの差や炭素濃度に依り、フォノンを初めとする吸収が残る。これに対しては重みを試行錯誤で変えて、バックグラウンドが最も小さくなるようにする。またバックグラウンドは波数に対して傾斜していることが普通なので、傾斜補正をして水平にして処理をしやすくする。
従来は、測定試料と参照試料の厚さの違う場合に、参照試料スペクトルに厚さの比の逆数をかけて引く方法がとられる
A = At - (tt/tr)*Ar
しかし両試料の吸収スペクトルの間には主に抵抗率の違いによることを含める差があって
それを炭素ピーク位置での差を消してから重み付き差を取る方が良い
A = At - (At-Ar)C-(tt/tr)*Ar
5.2. 濃度別のベースラインの引き方
濃度が小さくなるにつれ、炭素のバンド幅が小さくなり、3種のfractional phonon bandとの内、内側にあるバンドと重なるようになる。従って重なり方により3段階のベースラインの引き方が必要になる。
620-630cm-1のアウター微分フォノンバンドと612p-1のミドル微分フォノンバンドの対策の590-618p-1ミドルベースラインは、すでに電子協規格で低濃度用として制定されている580-620p-1ミドルベースラインに科学的根拠を与えたものである。
(1)高濃度
1:1の差、フォノンバンド端間のlong baseline
では、差吸収にはフォノンバンドはほぼ残らない。炭素バンドの端に当たるフォノンバンドの外にbaselineを引く方法がとられてきた
CZ結晶ではCiOi吸収が560,585,622,626p-1付近にあるので、560と640よりやや外にする(図3)
図5 17乗台までの高濃度試料の差吸収スペクトル
(2)中低濃度、outer phonon bandとmiddle bandの間のmiddle baseline, 590-618cm-1
電子協規格改訂版のミドルベースラインに科学的根拠を与えたもの
(i) 5x1015/p3以下, outer phonon bandが顕著
では炭素バンドが狭くなると共に小さくなって580,630p-1付近のouter phonon bandの大きさが近づいてくる。測定試料と参照試料は厚さの差や比抵抗の差によるフリーキャリアー吸収の差などがあるので、単純な差ではフォノンバンドを相殺することができないため、適当な重みをかけて引き、できるだけ小さくなるようにする。これらは590,620p-1付近でほぼ0になるので、それらを両端とするbaselineを引くことができる。吸収スペクトルのバックグラウンドの波数依存性が直線であることを前提にしている。(図3)
図 15乗台下半の差吸収スペクトル、middle phononが目立たない場合(ii)5x1015/p3以下、middle phonon bandの発生 no overlap at carbon peak, middle bandの外側 middle baseline, 590-618 cm-1(同上)
炭素バンド幅は狭くなって、612p-1のmiddle phonon bandの大きさが近くなってくる。そこでフォノン吸収の0になる場所を探すと上のouter phonon bandの場合と同じ590,616p-1になる。すなわちmiddle phonon bandは炭素バンドと一部が重なってベースラインの内側に入ってしまうが。Middle bandの外にbaselineが引ける。
図6 15乗台下半の重み付き差吸収スペクトル(再掲)
(iii)1x1015/p3以下、middle phonon band顕著、炭素ピーク位置でほぼ無視できる、 middle bandの外側 middle baseline, 590-618 cm-1(同上)
電子協規格改訂版のミドルベースラインに科学的根拠を与えたもの
フォノン吸収が炭素ピークの位置で0になっていないと、ピーク吸光度を過大評価して誤差になってしまう。この図の場合はどのスペクトルもほぼ0になっていると考えることができる。
(3)低濃度、5x1014/p3以下、inner phonon bandが顕著、炭素バンドに重なりゼロ点がなくベースラインが引けない、バックグラウンドの包絡線
になると、inner phonon bands, baseline impossible, envelope
600,608p-1に位置するinner phonon bandが同じくらいの大きさになる。これらは炭素バンドと重なり分離することができず、phonon zeroポイントが無くなってベースラインを引くことが不可能になる。従って従来通りの普通の方法ではピーク吸光度、言い換えれば炭素を求めることができない。
下記のようにして一応値を未t図盛ることができる。
炭素バンドの吸収は600,610p-1付近でゼロになるから、ベースラインとしてはその2点を引くようにするのが望ましい。
この例では低波数側のinner phonon bandは炭素ピーク位置ではほぼ0」と考えられる。そしてベースラインの想定される位置は低波数側では0になっているので包絡線の位置と考えられる。一方高波数側のinner phonon bandはピーク位置の608p-1でピークが無いので608p-1の位置が炭素バンドもほぼ0と見なせる。このようにして、ピークでのバックグラウンドの位置をある程度推定することができる。差濃度は上から2.8, 2.2, 0.5, 1.5, 0.7x1014/p3
図 14乗台下半の差吸収スペクトル、接線ベースラインは誤りゼロ点でなく
図 ベースラインの代わりにバックグラウンドに微分フォノンスペクトルをフィットして差し引く
黒が重み付き差スペクトル、縦破線は602,608,612p-1の微分フォノンバンド
茶は602,612で差ペクトるにスペクトルに一致させるよう大きさを縮小した微分フォノンスペクトル
赤は差スペクトルから微分フォノンスペクトルを引いたもので、602,612でほぼ0。
炭素のピーク吸光度は6x103/p3に相当
5.3.低温測定
では炭素バンドが鋭く高くなってinner phonon bandと分離されるため、ベースラインを引くことができるため測定が容易である。
高性能の装置を用いて精度の良いスペクトルを得れば1013/p3程度まで測ることができる。
ポリシリコンも微分フォノンバンドが妨害となる。高純度のため他のバックグラウンドの妨害が少なく、室温で1014/p3でも楽に測れる。

左:低温の微分フォノンスペクトル、室温より全体が約3p-1高波数にシフト、炭素バンドも微分フォノンバンドも狭いため重ならず妨害にならない
右:低温の炭素吸収バンド半値幅、低濃度ほど狭くなる。
5.4.ポリシリコン、室温
微分フォノンスペクトルは単結晶に似ており、微分フォノンバンドも似ている。入手できた試料の濃度の最低は2x1014/cm3

左:ポリシリコンの微分フォノンスペクトル、単結晶とほぼ同じ。中:約1.5x1015/p3、600,612,625cm−1付近に微分フォノンバンド。
6.濃度の算出
炭素のピーク吸光度から、厚さを考慮して1cm当たりの吸収係数に換算し、高濃度での測定結果図の場合の結果を図に示す。横軸は放射化分析による濃度であり、直線は濃度への換算係数0.82x1017/p-1の場合である。ほぼ満足すべき結果が得られている。最高濃度以外の場合も同じ換算係数を用いればよい。
A. 装置の検査
1014/p3や1013/p3の濃度測定には市販装置の中でも高性能なものが必要である。
従来のASTMや電子協規格では、酸素でも炭素でも、100%と0%の確認しか行わないが、炭素濃度測定では不十分である。
赤外分光装置には感度・精度・安定性が必要である。その検査法の例が2016年に示されている。
2016年の新金属協会における予備巡回測定ですでに行われている。
これを満たさなかった装置では低濃度の測定はできなかった。
新金属協会の標準化(突然中止まで)における予備巡回測定で推奨・実施
(1)フォノンバンドのピーク吸光度が厚さ2mmでほぼ0.65
図2 新金属協会の予備巡回測定(2016年)では0.63-0.67で、1前後となった社は精度が得られなかった。
(2)繰り返し測定スペクトルの再現性
フォノンバンドの領域は、炭素濃度測定に用いられる領域であるが、透過率が最も下がっている光の弱い領域のため、再現性が最も悪く、積算と平均の効果が減り、誤差の原因となる。そこで繰り返し測定の間の差が小さいことが望ましい。最大で吸光度差が0.001以内というのが一つの目安となる。実際の測定では繰り返し測定して平均するとスペクトル品質は格段に良くなる。
B. 検出下限について
定量分析や濃度測定には良く検出下限という言葉が使われるが、方法の絶対的な検出下限というものは無い。上記のように装置ごとに性能が異なって検出下限が異なるほかに、検出下限には原因があって、技術的対策がなされる毎に検出下限は改善されていくからである。また分析の世界では検出下限は色々なものが定義されており、素濃度測定の赤外吸収法の国際規格であるASTMではdetection limit (DL)またはlimit of detectionという言葉はinstrumental detection limitの意味で使うと定められている。しかし、これにも色々な定義がある他、その求め方も明示されておらず、低温測定で5x1014/p3という根拠が不明で1990年に定められて以降改訂がなく時代遅れとなっている。そこで我々はその再定義と実際の値についての評価を行った。
B.1. Instrumental detection limit
Instrumental detection limitで化学分析の教科書や環境汚染や放射能汚染などで最も良く用いられているのは、「ブランク試料の測定結果の標準偏差の3倍」である。ASTM規格でもほぼ同様であるので、それに従うこととする。但し、
補償法については新たに考える必要がある。そこで、
ブランク試料から「極低濃度の同じ濃度の試料の2つの測定の差」に拡張した。また
標準偏差として一般的な8回の測定を採用した。
推定濃度が約3x1014/p3の低濃度試料を繰り返し測定し、8組のデータで差スペクトルをとり、middle baselineを引いて炭素ピーク位置での高さの標準偏差を求めて3倍した。左図の例では3x1014/p3となった。
一方差が5x1014/p以下の右下図の例では差は3x1013/p3か0となる組み合わせで600-610cm-1のinner baselineを引き同様に標準偏差の3倍を求めると
9x1013/p3となった。
即ち
IDLそのものも、用いる試料の濃度とbaselineの幅が小さくなると小さくなる。
B. 2. Spectral detection limit
上の極低濃度の場合のように、炭素バンドにフォノンバンドが重なって、ベースラインが引けない場合には、機械的にベースラインを引く上記の方法でIDLを見積もることができない。そこで、上の方法のように、バックグラウンドを推定した曲線を用いて、そこからの炭素吸収ピークの高さを用いることとした。
図は1014/p3台前半の非常に濃度が近い2試料の差スペクトルの例で、差吸光度の最小目盛は0.00001即ち1x1013/p3に相当する。Inner phonon bandの高波数側はほぼ0と見られる。低波数側は負に大きくなっているが炭素バンドのピーク位置ではほぼ0でピーク高さに影響を与えていないように見受けられる。従ってバックグラウンドは包絡線で赤の曲線に描いたような変化をしていると想定でき、これをベースラインの代わりに使ってピーク吸光度は約0.00005と見積もることができる。即ち差濃度5x1013/p3程度が測定できたことになる。(4)項はこのやり方である。スペクトル全体を用いて、バックグラウンドの値を推定することによって、直線という機械的なバックグラウンドを用いる統計的なIDLよりも低濃度まで測定が可能と判断できる。この例では約3x1013/p3と見積もられる。
。
図 ベースラインの代わりにバックグラウンドの推定点を滑らかに結ぶ包絡線を引く。そこからの高さをピーク吸光度とする
低温測定
初めに
炭素濃度測定は上記のように赤外吸収法で行われているが、欧米では当初から室温でなく低温が主流であった。
炭素吸収バンドが狭く高くなると共に、妨害となるフォノン吸収は弱くなるからである。
しかし、実際には、分散型分光装置ではスリットを狭くするため全体の信号が弱まり、クライオスタットを用いることでさらに信号が弱まるため効果は感じられなかった。
1990年代にフーリエ変換型が普及し始めると、効果が出ると考えられるが、2005年までの実績は1x1015/p3までと、工場は不十分であった。
2011年のアボガドロ結晶では2x1014/p3が報告された。
我々は、以下に示すように、測定の妨害は微分フォノンバンドであり、低温にすると炭素バンドも微分フォノンバンドも狭くなって重なりが無くなるため、質的な効果がることを明らかにし、以下に示すように1013/p3までの測定を可能にした。
ポリシリコンの測定
初めに
シリコン結晶中の炭素は原料ポリシリコン中に含まれるものと、単結晶成長時にヒーターから雰囲気中に蒸発し融液に溶けて結晶にy取り込まれるものがある。
従来は高純度ポリシリコン原料中の炭素は低濃度で測定できないため、単結晶化して偏析により結晶尾部に濃縮された物の濃度を測り、偏析現象を仮定して原料濃度を推定する方法が主流である。
我々は以下に述べるように原料ポリシリコンの濃度を直接測る方法を開発し、1014/p3までの測定を可能にしている。
ポリシリコンも測定の障害は微分フォノンバンドであることを明らかにし対策を検討している。
微分フォノンバンドは単結晶の場合とわずかに異なっている。
低温測定により改善される見込みである。
シリコン結晶中の炭素濃度の赤外吸収による測定法の現行標準手順追加案
前書き
標記方法は国際規格がありますが、約30年前に制定されたもので、近年の低濃度化した濃度を測ることができません。そこで、最近までに問題を解決するための「第二世代赤外吸収法」を開発し、最低濃度1x1013 atoms/cm3
2016年から新金属協会での標準化が始まりましたが、突然中止されたままになっています。ここでは電子協規格・ASTM規格をベースに、新金協で採り上げられた内容や、その後の成果を追加する形で示します。
2026年版
前書き
2016年から新金属協会での標準化が始まりましたが、突然中止されたままになっています。ここでは電子協規格・ASTM規格をベースに、新金協で採り上げられた内容や、その後の成果を追加する形で示します。
2026年3月16日
装置の検査(2016年新金協予備巡回測定実施条件)
フォノン吸収バンドのピーク吸光度が、厚さ2oで0.65+-0.2
繰り返し測定間の差が炭素吸収ピークの付近の600p-1周辺で0.001以内
測定条件(2016年新金協予備巡回測定実施条件)、ポリシリコンも同じ
波数分解能2p-1
スキャン数1000scan
繰り返しと平均 3回
低温測定条件 スキャン数と繰り返しは室温と同じ
試料温度 液体窒素
波数分解能 1cm-1
重み付き差吸収スペクトルの計算
測定試料と参照試料のバックグラウンドの全吸収の差を相殺する。
Apeak = Asample - (As-Ar)CP- WxAref.
ベースライン処理
(1)単結晶室温、試料や装置などによって境界の濃度値は異なる
1 高濃度、約1x1016/p3以上、微分フォノンバンドが無視できる
ロングベースライン、560-640p-1、従来の電子協・ASTM規格と同じ
2 中濃度、約1x1015/cm3以上、outer微分フォノンバンドが大きい
ミドルベースライン、アウターバンドの内側、電子協規格に追加改訂されたものに対応、590-618p-1
3 低濃度、5x1014/p3以上、ミドル微分フォノンバンドが現れる
ミドルベースライン、ミドルバンドの外側、電子協規格に追加改訂されたものに対応、590-618p-1
3 極低濃度、1x1014/p3以上、インナー微分フォノンバンドが現れ炭素バンドに重なる
3 極々低濃度、5x1013/p3以上、インナー微分フォノンバンドが大きくなる
微分フォノンバンドをバックグラウンドにフィットして消去
ベースライン処理、単結晶低温、1x1013/p3以上
インナー微分フォノンバンドは炭素バンドに重ならない、ショートベースライン
ベースライン処理、ポリシリコン、室温
1x1014/p3以上
微分フォノンバンドをバックグラウンドにフィットして消去
Instrumental detection limitの算定
以上
(2019年版)
2019年8月21日
前書き
標記方法は国際規格がありますが、約30年前に制定されたもので、近年の低濃度化した濃度を測ることができません。そこで、最近までに問題を解決するための「第二世代赤外吸収法」を開発し、最低濃度1x1013 atoms/cm3まで測る方法を確立し論文などで発表し、現在多くのシリコンメーカで使われています。(1) 測定の準備、(2) 赤外吸収スペクトルの測定、(3) スペクトルの処理による濃度の算定、の3段階からなります。下線が従来の方法の問題点を解決する「第二世代赤外吸収法」の要点です。
手順概要
(1) 測定の準備
(i) 参照試料とブロックゲージの準備、(ii) 装置の検定・選択と較正、(iii) 炭素ピーク吸光度から濃度への換算係数を求める
シリコン結晶には、炭素の局在振動以外に格子振動やドーパントによるフリーキャリアー吸収などがあります。炭素による吸収を求めるには、炭素以外の吸収を消去する必要があり、炭素を含まない同等試料(参照試料と呼ぶ)を用意してその吸収を差し引く「補償法」を用います。
また炭素による吸収ピークは波長が約16ミクロンで、中赤外分光装置の検出器の感度ぎりぎりの為、装置ごとに誤差があり、装置の検定と較正が必要です。炭素濃度をSIMSにより測定したブロックゲージを用いて炭素ピークの吸光度から濃度への換算係数を求めます(方法は後述)。
(2)測定試料と参照試料の吸光度スペクトルの測定
測定試料と参照試料の透過光強度スペクトルを、できるだけ同じ装置条件で測定し、吸光度スペクトルに変換します。
(3) 炭素によるピーク吸光度の算出と濃度への変換
(i) 差スペクトルにベースラインを引く、(ii)妨害吸収を消去し炭素のピーク吸光度を求める、(iii) 濃度に換算する
2つの吸光度スペクトルの差スペクトルを作り、バックグラウンド吸収が平坦になるようにし、ベースラインを引いて、炭素以外の虚の吸収ピークを消去して、炭素吸収ピークを取り出しその高さを求め、濃度への換算係数を掛けて濃度を算出します。
高感度化と実用化と標準化
初めに
シリコン結晶中の軽元素不純物である、酸素、炭素、酸素は、結晶の歩留まりばかりでなく、シリコンデバイスの性能を左右します。
そこでこれらの濃度はシリコン基板の重要な仕様となっています。
これらの濃度は赤外吸収法により測定されています。
不純物はシリコン結晶中で、シリコン原子が振動してフォノンと呼ばれているように、固有の振動をしていて、局在振動モードによる赤外吸収があります。
その赤外吸収の大きさは不純物の濃度に比例します。
そこでその吸収の大きさを測ることにより濃度を求めることができます。
シリコン基板の取引において、信頼できる濃度値が必要です。
そのため、測定は公的に定められた測定法規格に従って測定されています。
従って高感度で高精度で実用的な測定法が開発されています。
測定法規格の代表は米国のational Bureau of Standard (NBS)が提供する測定法や材料の公的規格
American Standard for Testing and Material (ASTM)です。
炭素濃度は1970年のASTM123-70(tentative)が最初のようです。
わが国ではそれに倣って、通産省傘下の電子協で規格作りが始まりました。
ほぼ内容ができたときにASTMがそれまでの分散型装置からフーリエ変換型装置への対応のために規格の改訂を目指していることが分かり、
電子協から改定内容を提案し、1990年にASTMF139として制定されました。その後まだ改訂が進んでいません。
現在までに高感度の測定法の開発と普及が進み、改訂作業が進められています。
高感度化の開発と普及のあらまし
2005年頃の電気自動車への移行の本格化において、パワーデバイスのライフタイム制御に照射により準位を形成する方法に炭素が関与していることが次第に明らかになり、シリコン基板の炭素濃度の制御と測定の高感度が始められました。
課題の計画化と対策
シリコンメーカや分析装置メーカーやSIMSと放射化分析を含む分析サービス会社との協力
それらへのフィードバックと普及
測定法規格の改訂
が進められています。
それまでのIC chip全盛時代では、1970年代後半に炭素は欠陥に関与しないことが明らかにされ、濃度測定が実質的にされない時代が続いていました。
以下は応用物理学会における最近までの一連の研究発表の題名で、課題と達成が要約されています。
年表 シリコン結晶中の炭素濃度と測定の歴史
高感度化の開発と普及の詳細
第二世代技術を開発し応用物理学会で2005年春から現在の2024年まで約30件発表した内容を以下に示します。
:CZ-Si結晶中の低濃度炭素の赤外吸収測定 05春 29a-ZN-8
同(U) 高精度測定法 05秋8a-ZA-7
(III) 参照試料の作製 08春29p-X-15
(IV)10^14/cm^3台の測定と技術移転 12春 17p-F11-8
(V) フォノン吸収による妨害の対策と規格化の検討 14秋 20a-A20-2
(VI) 5x10^14 cm?3までのSIMS測定と標準試料 2015年春 12p-A18-3
(Z) 第二世代技術による 1x10 14 cm ?3の濃度と1x 10 13 cm ?3の 濃度差の 測定 13p-1E-1
([) 第二世代技術による 1014 cm?3 台の測定と SIMS,放射化 20a-H113-8
(\) 16乗から13乗へ16秋15-A23-11
(a)シリコン結晶中の炭素濃度測定の感度と規格適用濃度と検出下限16秋15-A23-12
(]) 14乗までの測定法 17春14p-F201-13
(b)シリコン結晶中の炭素濃度測定の感度と規格適用濃度と検出下限 (2) 「検出下限」の用法と科学的根拠 17春14p-F201-13
(c)シリコン結晶中の炭素濃度測定の感度と規格適用濃度と検出下限 (3)応物学会などにおける誓約書や拒絶などについてと研究公正 発表拒否
(?)電子線照射による1x1013cm-3までの赤外参照試料とブロックゲージの作製 17秋6p-A503-8
(?)1013cm-3迄の検出と1014cm-3までの高精度測定 17秋6p-A503-9
(XIII)参照試料とブロックゲージとスペクトルと測定プロセスの共有による高感度高精度測定ネットワーク化と実用 17秋6p-A503-10
(XIV)1x1013cm-3までの赤外用人工ブロックゲージの作製と共有 18春8p-D103-22
(XV)1x1013cm-3までの第二世代赤外吸収測定の国際ネットワーク 18春8p-D103-23
(XVI)低温における1x1013cm-3までの赤外吸収測定 18秋19p-131-14
(XVII) 1014atoms・cm-3のポリシリコンの赤外吸収測定18秋19p-131-15
(XVV)赤外吸収とSIMSの相互較正 19春16p-M111-11
(]\) 第二世代赤外吸収測定法の標準手順 19秋 18a-C212-3
(]]) 赤外吸収測定法規格の修正試案 20春15p-D411-5
(]]I) 炭素濃度の低減と測定法の進歩:Carbon engineering 20秋 11p-Z12-17
(]]II) 赤外吸収測定法規格の改訂再開 21春 19a-Z29-9
(23)赤外吸収法のinstrumental detection limitとspectral detection limit 21秋 10p-N203-9
シリコン結晶中の低濃度炭素の測定(24) インターネットとtemplateを用いた赤外測定 22春 26p-E104-11
22秋 10p-N203-9
23春 19a-Z29-9
23秋 10p-N203-9
24春 19a-Z29-9
24秋 10p-N203-9
内容を大別すると以下のようになります
参照試料 3,6,11
フォノン吸収の妨害 5
吸収からから濃度への換算係数の較正
感度向上 4,6,7,8,9,10
検出下限 a,b,23
低温 16
ポリシリコン 17
国際ネットワーク 4,13,14,15
SIMSと放射化分析との較正6,8,18
標準手順・規格の改訂 5,19,20,21,22,23
測定法標準化の歴史
初めに
炭素濃度はシリコンウエハの重要な指標であるため、取引の双方が信頼する標準化された方法で測る必要がある。
米国National Bureau of Standard (NBS)が主催するAmerican Standard for Testing aand Material (ASTM)はその基礎となってきた。
NBSがITに舵を切り、ASTMがSEMIに移管された。SEMIには材料の専門家はいないので、SEMI規格の維持は事務的なものがベースになっており、品質に不安が生じている。
一方、我が国では、通産省傘下の日本電子工業振興協会(電子協)が1976年の超LSI研の発作を契機に規格をシリコンウエハなどに広げた。
しかし、電子協も半導体産業のかげりにより、標準を廃止することとなり、新金属協会に移管した。
新金属協会はこじんまりした組織で、測定法とか標準にはこれまで縁がない。
新金属協会における標準化と中止(2016年)
概要
電子協から新金属協会への赤外吸収測定法規格移管を受けて、新金属協会でさらに測定法を向上させることになり、赤外吸収法とフォトルミネッセンス法を比較した結果、赤外吸収法が採り上げられた。
WGが発足し改良された方法により予備巡回測定が行われ、評価の結果良好な結果が得られたことが分かり、本巡回測定の他の試料作りが始まった。
すると、突然WGが解散され、フォトルミネッセンスの標準化が始まった。
しかし、標準化活動により、改訂に向かって前進した。以下はその経過であり、応用物理学会で報告されている
(2016年春、20a-H113-8)。
Si結晶中の低濃度炭素の赤外吸収測定
第二世代 技術による 10 14 cm 3 台の測定と SIMS, 放射化
結果と考察
極低濃度試料の探索を続け 10 1 4 cm 3 台前半を入手でき て巡回測定に使えるように
なった 。 ブロックゲージ と標準的な赤外測定ルーチン 、手元に保管していた最初の巡回試料など
を 新金協の標準化 参加 ならびにその他の世界の主要な関連 機関に提供し、 測定スペクトルを詳細
に検討して 有効性 を 確かめ 装置 や測定・解析手続き などの 課題を抽出した 。 新たに各機関が作製
する試料 の評価や巡回測定のサポートにより 5 × 10 1 4 cm 3 前後までの 新金協での 赤外・ SIMS ・放
射化の 規格化 と参照試料や標準試料の普及 を進めると共に、 さらに 計画に従って 1 × 10 1 4 cm 3 前
後 まで の規格化の準備と、 10 1 3 cm 3 台の 測定法の確立をめざ している 。
電子協規格
初めに
電子協はシリコン結晶の特性の測定法をASTM規格に倣って始めた。
シリコン技術委員会の中に酸素濃度測定法専門委員会を設置した。
最初は当時最も必要とされていた酸素濃度の赤外吸収による測定法であった。
そして次に酸素と並んで主要な不純物であった炭素濃度の測定法規格の制定に取り掛かった。
ただし、酸素と違って、デバイス特性への影響は顕在化していなかった。
本家のASTM規格にはベースラインの定めがなかったのでそれを決定したのが最大のポイントである。
すると、ASTM規格を赤外分光装置が従来の分散型からFTIRへの過渡期となったためかいていしようという動きが始まり、電子協の標準化した内容で改訂することになった。
改訂は電子協規格の制定の前に行われたため、電子協規格はASTM規格の和訳で行うことになった。