シリコン結晶研究のルネサンス
欠陥

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スワール

1980
Si微小欠陥研究史
河村力
日本結晶成長学会誌, 7-3&4, (1980)
1. 微小欠陥の発見と性質
 微小欠陥のルーツを探ると,遠くGe にまでさ
かのぼることができる.従来の転位ピットに比較
して, サイズが小さく, 密度が大であるピット
を, Ellis2) (1955 ) は“small  pit”という名で呼
んだ.判然と両者を意識的に区別したTweet12 )
(1959) によれば, 無転位Ge の(111)面をCP-
4 液でエッチングした場合に, 従来の転位ピット
の1/5 のサイズの"tiny  pit” が5 × IO4 cm-2 の
密度で存在した.高温熱処理を行なうと, これら
のピットは消失した. これらのことより, この微
小欠陥は, もともと, 融点で平衡濃度で導入され
た空孔が,結晶が冷却するにつれて過飽和とな
り, 無転位化したために沈積する場所を失って凝
集し, 析出した空孔集合体(vadancy  cluSter ) と
関係があると推測した.

 Si においても無転位化に伴い, それまで転位の蔭にかくれていたかのように,微小欠陥の存在が
大きくクローズァップされることになった. 特にFZ ウエーノ・においては, as  grown の(ll1)
ウエーハをSirtlエッチング16 ) した場合に, 転位ピットに対応しない丸味を帯びた皿状のピット
(Fig .2)が現われることがAbe ら29) (1966) によって発見された.彼らは, これを
“sha }low  etchpit” と呼んだ.後になって, これらはまた“sau .cer  pit” 32 ),“ flat.bottom  pit”
などとも呼ばれるようになった.このようなピットの集合がウエーハ上で渦(swirl )状を呈する(Fig . 3) ことから,
スワール欠陥, スワール・パターン(Fig .3) と呼ぶようになったのはScccodAragonaあたりからであると思われる。
コメント
著者は微小欠陥の研究をしていない

1979
CZシリコン単結晶の微小欠陥
井上直久 電電公社
日本結晶学会誌21,11(1979)
シリコン単結晶は天然・人工を通じ最も完全な結晶である.巨視的な転位を全く含まず,
不純物濃度も低く,直径3インチをこえる結晶が大量に製造され,半導体素子の基板として
用いられている.
シリコン単結晶の製造法としては溶融石英のルツボ内にとかした大量の融液から作る引上
げ法(Czochralski法,略してCZ法)と,整形された原料多結晶棒の一部に高周波誘導加
熱コイルにより融帯を作り再結晶により単結晶化する浮遊帯域法(Floating Zone法,略し
てFZ法)とがある1).現在主として前者は集積回路用の結晶の製造に,また後者は電力素
子用の結晶に用いられている.
FZ法の無転位シリコンウエハを化学エッチすると,微小なピット(直径数μ の皿状くぼ
み)が渦状に分布したいわゆるスフールパターンが現われることは10年以前に見出された2).
そして素子製造の歩止り低下の原因になることがわかり,成因や実体の解明が進められてき
た.一方近年CZ結晶のスワールが素子製造中の熱酸化工程で積層欠陥を発生させる原因の
一つであり,また積層欠陥が素子の特性を劣化させることがわかり,注目されるようになっ
た.最近の結晶ではもはやスワールが現われることは稀であるが,そのような結晶にも類似
の微小な結晶欠陥(大きさ数μ以下)が含まれており,集積回路の特性劣化と関連して問題
となっている.
我々はCZシリコン単結晶中の微小欠陥を減らす為に,結晶育成・結晶学的評価・電気特
性による評価を行なっている.ここでは結晶学的評価・解析から得られた事を中心に報告
る.なお微小欠陥および積層欠陥全般については文献3,4)を参照していただきたい.
3) 松井純爾:応用物理,44, 1328 (1975).
4) 杉田吉充:応用物理,46, 1056 (1977).


Czochralski Silicon Crystal Growth and Characterization
K. Daido, S. Shinoyama and N. Inoue
Review of the Electrical Communication Laboratories, "7-1-2, 33-40 (1979).
This paper describes oxidation induced stacking faults (OSF) in dislocation-free Czochralski silicon, formation mechanism and growth technique for low defect density crystals. OSF-free (less than 100/cm2) silicon crystals have been realized by flattening the growth surface and by growth rat fluctuation suppression. Quantitative relationship between OSF-density and precipitated oxygen content in silicon has been clarified. Furthermore, TEM analysis revealed that the stacking faults are nucleated at the silicon oxide precipitates during hat treatments.

Fig. 1 Swirl pattern s reveled by Dash etch. Annealing condition is at 850 oC for 3 hours in Argon atmosphere.

Fig. 2 Growth interface shape of longitudinal section and the pit density distribution. Growth interface shape was revealed by Dash etch. (a) Longitudinal section etching pattern.
(b) Etch-pit density distribution: x 106/cm2.

Fi. 3 Oxygen induced stacking fault density distribution along the growth direction.

Fig. 4 Oxidation induced stacking fault distribution on a longitudinal section.

Fig. 5 Wafer resistivity variation.

Fg. 6 Oxidation u\induced stacking fault density distribution and interstitial oxygen concentration along the growth direction. ---

1971
Annealing behavior and etching phenomena of microdefects in dislocation-free float-zone silicon
 F .Seccod ,Aragona : phys . stat . soL (a ),7 ,577  (1971).


1966
Etch Pits Observed in Dislocation-Free Silicon Crystal
T ,Abe , T . Samizo and  S. Maruyama : Jap、 J.AppL  PhyS .,5, 458 (1966 ).
DOI 10.1143/JJAP.5.458