シリコン学園
シリコン結晶-世界の「頭脳+神経網」と「心臓+血管網」と「科学と社会」の基板
第二世代の研究
赤外吸収はその発展を支えるキー技術
研究と開発のネットワーク
シリコンのことなら最先端から社会まで何でも分かる
Siliconet

2024-
2019/08/21-
2000-
1996-

第2世代
2024年版
初めに

これまで、シリコン結晶に限っていましたが、今年は、シリコンデバイスの工場の日本進出を初めとして広く戦略を考えることが増えてきました。
そこで、対象を広げていきます。
また、研究成果の発信は従来は論文が基本でしたが、最も必要なのは現場の技術者なので、それに役立つ発信を進めます。

2021年版
初めに
 

シリコンデバイスは1950年代の開発当初には、真空管の代替として信号処理のトランジスタとパワーデバイスのダイオードが同等に用いられていました。
1970年代半ばのMOSメモリーの開発により、信号処理用が圧倒的になりました。
しかし2005年前後の電気自動車用パワーデバイスの普及をきっかけとしてパワーデバイスの地位が高まりました。
その後パソコンと携帯電話の普及によりICチップは社会の頭脳と神経網のニューロンになりました。
またパワーデバイスはあらゆる電気機器に必要なので、社会の心臓や血管網や血液になっています。
即ち、今やシリコンは世界の頭脳+神経網と心臓+血管網となっているのです。
2019年には国際単位系が改訂され、シリコン結晶がキログラム原器を置き換えたと言えます。
シリコン結晶基板は、日本が世界シェアの過半を占める数少ない産業です。
その研究開発で最も基本となるのが、不純物濃度の赤外吸収測定法と、結晶欠陥関連の赤外吸収による解析です。


シリコンデバイスの基板となるシリコン結晶の研究開発の成果は、これまで殆ど論文という形で学界にしか発信されてきませんでした。
実際を担うのは工場の技術者ですが、そこには研究の情報が届いていません。
反対に工場の情報を外の研究者は知ることができません。
一方でインターネットの普及以降、あらゆる情報の公開と普及とフィードバックが進み、紙媒体を基本とした従来の情報の独占と一方的普及の限界を超えています。
そこでこのHPはそのような情報の公開と多様な発信の一翼とフィードバックによる発展を目指していきたいと思います。
シリコン結晶とその赤外吸収の基礎的な知識から、最先端の研究まで、また
シリコン産業で必要な不純物濃度と欠陥の赤外吸収による品質管理のノウハウまで。
siliconetというホームページは1996年に大阪府立大学で始められ、世界に例がありません。
このホームページは約15年の空白を経て再開したものです。2021/08/16

Siliconet
Silicon crystal: Substrate of the brain and the heart of the world

Siliconet is the website for information on the research and development of silicon crystal.
25/08/2021


目次

A シリコン結晶の研究開発の歴史

B シリコン結晶の研究 第二世代

C シリコン結晶中の欠陥の研究


D シリコン結晶の赤外吸収
酸素

初めに
窒素はIC基板となるCZ結晶に過飽和に含まれ、デバイスプロセスの熱処理で析出して二次欠陥を作る。

シリコン結晶の軽元素不純物と真正点欠陥の複合体の局在振動モードの赤外吸収

炭素

初めに
窒素は10種近くの構造があることが特徴である。我々は赤外吸収により、それらを発見または同定した。

シリコン結晶中の炭素濃度の赤外吸収による測定の高感度化と実用化
半導体フォトルミネッセンス法の問題点

シリコン結晶中の炭素濃度測定法のSEMI国際規格

経緯、現行規格と解説
炭素濃度の検出下限, Instrumental detection limitとSpectral detection limit
Discussion
Detection limit


窒素

初めに
窒素は10種近くの構造があることが特徴である。我々は赤外吸収により、それらを発見または同定した。

格子間原子対
as-grown結晶中の構造、格子間原子と、空孔・置換型対
shallow thrmal donor (STD)の構造と吸収

照射や熱処理による酸素・炭素・窒素と真正点欠陥の赤外吸収

E シリコン結晶の評価解析技術


F データベース
シリコン結晶の不純物と真正点欠陥複合体の局在振動による赤外吸収のデータベース
シリコン結晶の不純物と真正点欠陥複合体の局在振動による赤外吸収のスペクトル

G シリコン結晶・デバイス・システムの動向

H 基礎知識

シリコンデバイス
点欠陥と欠陥の基礎知識
赤外吸収の基礎知識



A シリコン結晶の研究の歴史

初めに
シリコン結晶の研究を一層推進するために、その歴史を総括する試みを2018年に開始した。
2018年

Research on the silicon crystal - past, present and future

Table 1. Summary of four stages
Stage/year 1/1950 - 2/1975 - 3/1995 - 4/2005 -
Carrying vehicle discrete LSI(DRAM) ULSI Power device
Dominant defects
Impurity
Point defect Dislocation
Swirl
Dislocation loop Interstitial Oxide precipitate Oxidation induced stacking fault (OSF)
gettering Void
Nitrogen
Doping effect
Vacancy C-O-V-I
Electronic effect recombination Oxide breakdown trap
Criterion Growth rate (V) V/G (temperature gradient) Modified V/G

The 8th Forum on the Science and Technology of Silicon Materials 2018 (Okayama)
Nov. 18-21, 2018, Okayama, JAPAN




2019年
シリコン結晶基板の品質と点欠陥(1)4.5時代の70年
Quality of silicon substrate and point defects (1) 4.5 Eras in 70 years
東京農工大工1,○井上直久
Tokyo Univ. Agriculture & Technol. 1, Osaka Pref. Univ. 2 ○N. Inoue1, 2, E-mail: inouen@riast.osakafu-u.ac.jp
1950年頃のシリコン結晶成長の始まりから70年を全体的経験から分析する。発展の外的要因はdeviceとその特性とcostからの要求で4.5Erasに分けられ、主役はlight impurityとpoint defectとstress、内的要因は主にTEM(精密測定とその場観察)、IR(精密測定)、(Defect) Control、Theoryと考える。また基礎研究が後に実用に開花した。
Transistor/IC Era(1:'50-) 1950年頃Si Trと単結晶の研究が始まった。欧米では70年代にSwirl (a)[de Kock73]に関しFZ結晶の(点)欠陥(一)がI型かV型かが成長速度Vに依存すると議論された。筆者は70年頃に直径1インチのXray in-situ topography [千川:結晶'71]に接した。一方我々はLSI実現のためCZ結晶高品質化のための「CZ結晶のswirlの実体・原因・防止法」の実践的な課題に取組み、TEM(1)とIR(i)[Inoue78]とThermodynamics(I)により解明し[井上:研実報78, Inoue79]酸素・欠陥制御(A)のスワールフリー仕様により64kbDRAMを試作(α)した[井上78]。
LSI Era (2:'75-) 1975年に我々はLSI研究プロジェクトの一環としてCZ基板結晶の実現を開始した。デバイスプロセス中に発生し素子不良を起こす酸化誘起積層欠陥(OSF)(b)の低減のため、過飽和酸素(過冷却度300℃以上)の析出(c)(by IR(ii))においてその応力(歪)(@)による格子間シリコン(二)の放出により発生することをTEM in-situ (2)と欠陥制御(B)により明らかにし[Wada79]、析出の発生と成長の挙動を定量的に明らかにしClassical Nucleation Theory(II)により現象論的に理解した[井上応用物理79]。また酸素濃度制御(C)とウエハのspec.を「deviceにOSF-free」と決定して256kbDRAM(β)を実現した[井上応用物理81]。その後結晶成長では欠陥低減のため「Vと固液界面の温度勾配Gの比が一定値では欠陥は発生せず、大きいとI・小さいとV型欠陥が発生する」というVoronkovのTheory (III)[1981]に従ったpoint defect control(D)が主流となった。またLSI用としては重金属汚染を防ぐために酸素析出を制御して利用するgetteringが必須となった。筆者らが酸素析出低減のためcontrol(E)し定量的に解明したデータが、析出導入のための技術基盤としてあらゆるdeviceに採入れられ実用(一)となった。OSFが無くなった後に高集積化したメモリに新たな欠陥が評価法に依り異なる欠陥として現れた。その議論を整理し統一的理解に役立てた[井上応用物理97]。酸化物析出によるlifetime reduction(Γ)[Miyagi82]を明らかにした。
IC chip Era(3:95-) LSIが携帯などあらゆる用途にICchipとして入った頃に、酸化膜欠陥()による特性不良の原因としてV型のVoid(d)がTEM(3)により発見された[Itsumi95]。Void欠陥の発生しないV/Gを結晶全体で実現する、熱処理により消去するなど色々な制御技術(E)が実用化された。またV,I型を問わず欠陥を低減できるN dope技術(F)が主流となった。シリコンよりも大型と小型の不純物のドープによる点欠陥のV/I型の違いと応力によるイメージが阿部により提案されていた。そこで我々は、不純物の周りのstrain((stress)(A))とそれによる点欠陥の増加をThermodynamics (W)により明らかにした[KikuchiECS99]。通常の歪はexternal stressが原因の場合が考えられる。しかしこの場合は結晶表面は自由表面で外部から応力はないからinternal stress(B)に対する検討が必要なことを示した。不純物ドープによる点欠陥の発生を最初はequilibriumの不純物の周りのstressについて、次に結晶成長中のnonequilibrium, nonuniformな状態とthermal stress(C)について[Tanahashi96,99, 01]、さらにanisotropic stress(D)の場合[Tanahashi01]について拡張し、stress at the interface(E)は大直径化により問題となるとの阿部の予言を補強した[井上成長99]。窒素点欠陥相互作用や低減機構は不明で微量dopeのため研究法が無かった。そこで電子線照射を利用して点欠陥を導入し窒素点欠陥複合体を増強し、そのIR(iii)を探索同定し熱処理挙動を検討した[次報]。これによりFZ結晶の熱処理によるlifetime reduction(Ε) [Grant'16]を説明できる。
IT Era (3.5th:2005-) silicon結晶は年々大型化してきた。対する成長技術の代表は磁界印加による融液流の制御(G)である[HoshikawaECS81]。一方VoronkovのV/G境界がshiftする問題が結晶中温度勾配などのControl(H)により明らかとなった[Nakamura'14]。Vanhellemontらは第一原理計算(V)により考察し大直径化により固液界面で結晶にかかるanisotropic stress(D')が原因と考えた[2011]。我々の応力に対する熱力学的考察を第一原理計算により発展させたことになる。不純物dopeの理解のための理論が、今日の育成技術に実用化された。この他の3.5th発展として酸素析出にVの[Kissinger]、不純物ドープに電子的寄与が追加検討されている。点欠陥の統一的理解[中村]も重要である。preferential dry etchingによる欠陥評価技術[中嶋2000]も実用化された[井上応用物理03]。
Infra/power Era (4:2005-) power deviceの効率を定めるライフタイムの制御のために電子線照射が基盤技術となっている。ハイブリッドカー実現のために粒子線照射により制御(I)して導入した炭素酸素複合体が用いられた[Sugiyama04]。我々は協力してIR(iv)により炭素酸素複合体の挙動の解明と炭素濃度の参照試料と測定法として実用化した[次次報]。CZ結晶の炭素の混入機構とメルト中温度分布などの制御(J)による濃度の低減[金子]など多くの研究がある。
応物学会2019年春 16p-M111-9

年表 シリコン結晶の研究の世代(ver.1)





11950-Tr, IC
21975-LSI
31995-IC chip
3.52005-IT
42005-power

2020年以降 別紙




B シリコン結晶の研究の第二世代

初めに
我々は次の表に示すように、1970年代んの開始当初から常にブレークスルーを追求している。

年表 シリコン結晶の研究の第二世代(ver.3)

緑Voronkov、赤信越半導体・阿部、青NTT大阪公立大・井上、茶SUMCO・宝来
応物学会 2024年春






Contents

History of the research and development of silicon crystal

Research on the defects in silicon crystal
Diagnostics of silicon crystal

Infrared absorption measurement of light impurity concentration by infrared absorption spectroscopy

Infrared absorption of carbon in silicon
SEMI Standard measurement procedure of carbon concentration in silicon by IR
Detection limit, Instrumental detection limit
Advanced measurement procedure for carbon concetration 1x10^13-1x10^14/cm^3
JEITA Standard measurement procedure of nitrogen in silicon by IR, SIMS and CPAA

Database of the infrared absorption bands from impurity-intrinsic point defect complexes in silicon

Infrared defect dynamics

Carbon
Nitrogen
NN 4 atom member ring, NO ring of shallow thermal donor
Various N complexes in as-grown Si
VN complexes in irradiated Si



2019年再開版表紙再掲

2019年8月21日

初めに


シリコン結晶は、コンピューターや携帯電話などあらゆる電気製品に使われている、トランジスタからICチップまでの半導体デバイスの材料です。
しばらく前まで、日本は半導体デバイスの最大の生産国でした。その地位は失いましたがシリコン結晶では現在でも最大の生産国です。
日本の物づくりは多くの場合職人や工場現場の人々の注意深さと創意工夫とで成り立っています。
シリコン結晶の場合も基本は同じです。
鉄の場合は大企業が世界の大企業と競い合い、大きな研究所で研究開発が行われ、学会でも公表されますが、シリコン結晶の生産者は小さく、結晶成長中の精密な制御がものをいうため、学会と現場は余りつながっていません。学会や論文では欧米の活動が目立っていますが、現場の技術者にはそれらは伝わっていません。
ここではそのような学界の情報を現場の人に届けて役立ててもらうことを目指します。

siliconetは2000年代に大阪府立大学にあったHPの再開です。



1996年初版表紙復刻再掲

Siliconet
ホームページ開設のお知らせ!

・〒593 大阪府堺市学園町1-2
大阪府立大学 先端科学研究所
TEL:0722-52-1161
FAX:0722-52-1163


関係各位殿
シリコン基板に関するホームページ開設のお知らせ
大阪府立大学 先端科学研究所
シリコン結晶研究グループ

シリコン基板に関する研究開発状況の情報に関しては、活動があまりにも多岐にわたっている
ため全てを知ることができないという問題があります。そこで下記のような内容に関するホームページを開設しました。
1996年12月20日

内容

学会・研究会の報告
学会・研究会の予告、案内
シリコン関連の主なホームページ




経過
2024/12/10 シリコン学園に改題
2021/08 Sliconet英語版開始
2019 Siliconet再開
1996/12  Siliconet開始(大阪府立大学)